喉の圧迫感・つかえる感じとは
感覚としては喉に何か(痰など)が張り付いたような違和感や胸が圧迫されている、食べ物が詰まるような感じです。原因は器質的原因、機能的原因、心理的原因に分かれます。
喉の圧迫感・つかえる感じを引き起こす疾患
食道がん
器質的原因の代表です。がんで食物が通りにくくなり、飲食時に胸や喉のつかえ感、違和感などを覚えるようになります。食事量の減少による体重減少やがんの進行による背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が現れることもあります。
カンジダ性食道炎
器質的原因の一つです。免疫力が低下した時に常在菌の一種であるカンジダというカビが食道粘膜に増殖して炎症を起こし、胸焼け、喉の違和感やつかえる感じといった症状を生じさせます。内視鏡で観察すると食道粘膜に白い苔のようなものが付着していることが観察されます。自然に治ることもありますが、治療が必要な場合には抗真菌薬を用います。
好酸球性食道炎
好酸球というアレルギー反応に関与する白血球の一部が、食道に慢性的な炎症を生じさせる指定難病の1つです。食事が通りにくくなったり、つかえる感じや胸やけ、胸の痛みなどの症状を生じます。原因については、まだはっきりわかっていませんが、喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を持っている人に多く発症すると言われています。胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬が第一選択で、これで効果がない場合は喘息で用いられるステロイド吸入薬を飲み込んで食道に付着させる局所ステロイド治療が行われます。
食道アカラシア
下部食道括約筋がうまく緩まないために食物が胃に入らず、食道内に停滞してしまう機能的疾患です。食道括約筋を緩めたり閉じたりする迷走神経に何らかの異常があることが指摘されています。精神的ストレスや冷水などで増悪します。食後の胸のつかえ感や胸焼け、重症化すると吐き気や嘔吐を伴います。拡張した食道に停滞した飲食物が逆流することで咳や誤嚥性肺炎を起こしたりすることもあります。治療には薬物や内視鏡的バルーン拡張術、外科手術がありますが、最近はPOEM(経口内視鏡的筋層切開術)が標準治療となっています。食道アカラシアは、食道がんの発症リスクが高まることが分かっており、注意が必要です。
ヒステリー球
ヒステリー球とは器質的障害がないにも関わらず喉の奥に球があるような感覚のことで、ストレスや不安、抑うつ状態などの心理的なものが原因です。ストレスによる緊張が食道平滑筋の異常な痙攣を生み出すといわれ、中年の女性に多い病気です。食べたり飲んだりする時に症状は軽減し、数時間や数日で軽快します。基礎にあるストレス、不安感、抑うつ状態を除くための治療が行われます。