便潜血検査で陽性を指摘された

便潜血陽性とは

便潜血検査陽性とは便に血が混入している状態を指し、血が目視できないようなわずかな出血でも発見することが可能です。便潜血検査は大腸がん死亡率減少効果が科学的に確認されている検査で、大腸がん検診として広く行われています。がんだけではなく痔やポリープなどからの出血でも陽性反応を示すので、それだけでは何が原因かわかりません。健常な方が便潜血検査を受けると5-10%の方が陽性となりますが、がんの方はそのうち約3%です。つまり便潜血陽性となってもほとんどの方はがんではありません。しかし、便潜血陽性で大腸カメラ検査を受けた方の3〜5割に腺腫が見つかります。欧米からは5mm以下であってもすべての腺腫を内視鏡的に切除することで大腸がん発生が7割~9割抑制できること、大腸がん死亡を約5割抑制できることが報告されています。大腸カメラ検査の目的はがんを発見することはもちろんですが、この腺腫を切除しておくことによる将来の大腸がんの予防効果が大きいのです。

血便・下血・便潜血の違いについて

胃や十二指腸からの出血は黒色(タール便)で下血と言います。大腸からの出血は暗赤色、直腸や肛門からの出血は鮮やかな赤色で血便と言います。便潜血は、便に血が混入している状態で、目で見て確認できないほどの血の量です。大腸がん検診として、便潜血検査が行われています。血便や下血がある時は便潜血検査をするまでもなく、原因検索として胃カメラや大腸カメラ検査を行います。

便潜血陽性で疑われる疾患

大腸がん

初期の大腸がんは無症状で便潜血検査でしかわかりません。特に盲腸や上行結腸など右側の大腸がんは症状が出にくいといわれています。大腸がんの5年生存率は初期の0期、I期では9割以上、III期でも約7割ですが、IV期になると2割と急激に低下します。他のがん同様、大腸がんも早期の発見と治療がとても重要です。


大腸ポリープ

いぼのように、粘膜が隆起している病変を指します。便潜血検査陽性で大腸カメラ検査を受けた方の3〜5割に腫瘍性ポリープの腺腫が見つかります。腺腫は10mmを超えるとがん化しやすいとされ、20mmを超えた場合は大腸がんのリスクが50%以上と報告されています。

痔核

排便時のいきみや便秘などで直腸肛門部の血液循環が悪くなり毛細血管の集まっている静脈叢がうっ血してはれ上がった状態のことです。痔があると排便時に切れて便に血液が付着し、便潜血検査が陽性になることがあります。

潰瘍性大腸炎

炎症を起こしている大腸粘膜からの出血で便潜血陽性となることがあります。若年者に多い病気ですが、最近では高齢での発症も増えており、大腸カメラ検査による診断が必要です。


便潜血陽性の検査

  • 血液検査
    :炎症反応や貧血等の有無
  • 大腸カメラ検査
    :がんや潰瘍、炎症の有無
  • 大腸CT
    :肛門から炭酸ガスを注入してCT撮影を行う方法です。6mm以上の病変は大腸カメラ検査と同等の検出能ですが、丈の低い平坦な病変はわからない、生検や切除ができない、といったデメリットがあります。癒着や腸が長いために大腸カメラ検査が難しい方に有用な検査です。

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